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コレステロールを下げる『ポートフォリオ食品』はスタチンに匹敵する?

  • 2019年10月8日
  • 2019年10月12日
  • 未分類
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ポートフォリオダイエットとスタチン Effects of a dietary portfolio of cholesterol-lowering foods versus lovastatin on serum lipids and C-reactive protein. Jenkins et al. JAMA. 2003 Jul 23;290(4):502-10.

LM (Lifestyle Medicine) では可能な限り

科学的根拠(エビデンス)をもとに

推奨する内容を決定しています(*)。

* EBM(Evidence-Based Medicine)と呼びます。

* EBMの基本については別記事をご覧ください。

何を科学的・統計学的に証明したのか?

過去、現在、未来にどのような意味をもつのか?

試金石となった研究を読み解きます。

ポートフォリオダイエットの位置づけ

さまざまな食品・栄養素がコレステロールを低下させることが

示されていますが、クスリ、特にスタチンとのガチンコ勝負は

2003年に発表されたこの研究が初めてでしょう。

世界五大医学雑誌(Big 5)の一つであるJAMA

掲載されたことも、この研究への関心の高さが伺えます。

研究の背景

研究の命題

The goal of this study was to determine the effectiveness of a dietary portfolio of cholesterol-lowering foods as compared to statin therapy and a control diet.

研究の方法

研究の結果

Jenkins et al. JAMA. 2003 Jul 23;290(4):502-10.より引用・一部改変
Jenkins et al. JAMA. 2003 Jul 23;290(4):502-10.より引用・一部改変

研究の解釈

論文著者の解釈:

特定の食品の組み合わせはスタチンと同等のコレステロール低下効果アリ

というのがざっくりとしたメッセージです。

RCTというガチンコ対決で有効性を示したことに

大きな意味を感じます。

私的解釈:

低リスク・軽症の患者さん、または健康な人の一次予防には意味アリ

個人的には、この研究の解釈をする場合、

いろいろと気をつけるべき点があると思います:

  • Nが小さい
  • 追跡期間が短い
  • ハードアウトカムの証明ではない
  • ポートフォリオダイエットの持続可能性
  • 時代背景

もちろん、素晴らしい、と賞賛できる点もあります:

  • 食品の効果とその限界がわかる
  • 具体的な食品の指導ができる
  • 『コレステロールが下がる』という単純なデータとしての意味はある

気をつけるべきと思うことを説明しておきましょう。

1. Nが小さい

これは以下の2や3とも関係します。

2. 追跡期間が短い

3. ハードアウトカムではない

4. 持続可能性

この研究では食事が提供されています。

著者も言っていますが、この研究のプロトコールに

のっとった食事を毎日自分で準備できるのか、

そしてそれを年余にわたって持続できるのか、

このあたりは大きな疑問が残ります。

5. 時代背景

この研究が発表されたのは2000年代初期ですので、

その当時と今では意味合いが大きく異なると思います。

一番大きいのは、この研究が、『高用量スタチン療法』

以前の時代の話だということです。

コレステロール降下療法については

CTT Collaboration

というグループが定期的にデータを発表しており、

興味深い各データの歴史についてみられます。

1994年の4S研究の結果から、スタチンの効果が

幅広く認識されるようになりました。

それを受けて、2000年前後から、

現在の標準治療ともいえる高用量スタチン療法

について頻繁に研究されるようになります。

心血管死を抑えるデータなども出始め、

臨床研究の世界ではかなりホットな領域でした。

しかし、この頃はスタチンを処方するのに

ためらう現場の医師も多く、アメリカではわざわざ

代謝内科の専門医に依頼する医師も多い現状でした。

今となってはまったく想像のできない時代ですね!

ライフスタイルでどこまで代用可能なのか、

食品なら何がいいのか、

などの疑問は患者さんだけでなく、

医師にもあったといえるでしょう。

そんな時代背景を受けて、NCEPという

アメリカのコレステロール治療の指針を

作成しているグループが、ガイドラインに

コレステロールを低下させる食品の候補として

挙げたのが、このポートフォリオダイエットに

含まれる組み合わせでした。

以上の理由で、高用量スタチンの確固たるエビデンスが

崩れない限り、すでにリスクの高い患者さんにあえて

クスリなし、食品の組み合わせでイケるよ!

とは勧められないかな、と思います。

逆にいうと、この研究は

LDLを下げる=心血管イベントや死亡率を低下

という過去の研究結果を大前提とした場合、

特定の食品の組み合わせでLDLが少し下がるから

おそらく死亡率も下がるだろう

という飛躍した解釈をしても問題のなさそうな

低リスクの人には当てはめても安全かな、と思います。

個人的には以下の場合にこの研究の結果を使います:

  • 心血管疾患低リスクの患者さんの一次予防
  • 健康な人でややコレステロールが高め

以下、準備中

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